こころルーム表参道
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言い回しを変えると気分が変わる



生きていると、実にさまざまな人に出逢い
いろんな関わりを体験していきますよね。

その体験を繰り返して出逢っていく人の中には、

「・・・ムカ〜っ!なにぉ〜!!」
と怒りを覚える人や、

「そんな言い方しなくても・・・。」
と、悲しくさせる言葉を放つ人達と遭遇することがあるものです。
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私も、もちろんそういう人と稀に遭遇することがあります。

でも

「この人、嫌い!」

と言ったことは、かなり長い年月ありません。

「え?ないの?」
と思った方もいらっしゃるとは思いますが
正確に言うと「嫌い」ということばをあえて使わないようにしている。
というのが正しいかもしれません。

私の場合、
「この人、嫌い!」の「嫌い」の言葉の部分を
「苦手」という言葉に即座に自動変換するクセが
かなり以前からついているのです。

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この「苦手」ということば。

なぜこのように私が変換(表現)するようになったのかというと
こんなエピソードがあるからなのです。

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口の利き方も素行もあまり褒められなかった私の中学時代。

「アイツほんとに嫌い。ムカつく!!あ〜嫌い、嫌い!」

と、ある日、兄に同じクラスの子への愚痴を
こぼしたことがありました。
そしたら、兄がこういったのです。

「僕は、人に対して『嫌い』と言うのは好きじゃない。だから『苦手』と言え。」

はっきり覚えてはいないのですが
(きっと「苦手と言え!」とは命令されてはいないはずです。)

「その言葉を言われるのも、言うのも好きじゃないから、
「苦手」という言葉に変えて 使っているよ。僕は。」

と、そのようなニュアンスだったと思います。

どうして「苦手」という表現を兄が選んで使っていたのか
詳しく理由は聞きませんでしたが、
そのとき、私の心の中で

「あ。そういえば・・・その言い方にしたほうが、
その人への『嫌い』っていう 気持ちの度合いが薄れるかも。。。」

と思ったのは確かです。
思ったと同時になんだか、
相手に対するトゲトゲしていた自分の気持ちが
少しやわらかくなったような気がしました。

それ以来、「(この人)嫌い」と使わなくなった代わりに「苦手」という
言葉を使うようになったのです。

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不思議なもので言い方を変えると気分が変わります。

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自分の中で最下位だった相手の位置づけの「嫌い」から
それよりもちょっとだけ相手に近寄った感のある「苦手」に
最初からランクインされていると

『なんだか受け入れにくいなぁ。この人・・・』

と思う人にばったり出会っても、心のバリアも弱まり
相手に対する心の余裕ができます。

時として、「苦手」→「(今は)苦手」
と、捉えることも出来るようになることもあります。

そして、
「苦手だからこそ、いつか克服できるんじゃないか?」
というイメージが湧いてきて、
「いつかその人と心地良い関係になれる。」・・・かも。
という、自分の心へ相手を受け入れる
「心の通行許可」
も出ることがあるから不思議です。

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子どものときに「苦手」だった食べ物も大人になってから
「克服」して大好きになることだってありますものね。
これを「嫌い」と拒み続けていたら、
一生その美味しさを知らずに終ると思うのです。
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また、これは芸能人のIKKOさんがあるテレビ番組の中で
おっしゃっていたことです。

「『ダイエットする』っていうと辛いイメージがある。
だけど『シェイプアップする』っていうと
気持ちよくキレイになっていくイメージがあるから、
私はいつもシェイプアップって 言ってるわ。」

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うん。わかる、わかる。その言い回し。
カウンセリングやセミナーでもお伝えしていますが
これは、自分への暗示(アファーメーション)を
つくるときにもとても必要なことなのです。

スルっと自分の受け取り易い状態で入ってくる、肯定的なことば。

肯定的なことばがどうしても今みつからないときには、
自分がなんとなく違和感の感じるその言葉を、
すこしだけ柔らかいイメージの言葉に変えていく。

その柔らかくした言葉をさらにやわらかく・・・。
この作業の繰り返し。

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これって、きつく聞こえる言葉のトゲを
まぁるくしていくような作業ですよね。
ポイントは
「自分にとって気持ちの良い言い回し。」
であること。

これをたくさん心のポケットにストックさせていくこと。
言い回しを変えるとそこに対するイメージや気分が変わる。
気分が変わると行動が変わります。

また、自分にとって心地良いことばを増やしていくということは
心地良いことばを他者へ伝えられる力も養えることに繋がります。

みなさんも普段使っている言葉の中に
違和感のある言葉のトゲを見つけたら
それをまぁるく変化させて、自分にあった心地良い言い回しを
生活の中で使っていってくださいね。


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